PLC/ラダー回路の基本6 スキャン・パルスについて

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「タイマー」ついては理解していただけたかと思います。
ここでは、ラダー回路を設計するときに常に意識していなければならない、スキャン及び便利なパルス機能について説明します。

「PLC/ラダー回路の基本1 ラダー回路の概要、A接点・B接点について」で少し説明しましたが、PLCにはスキャンというハード回路には無いものが存在します。
簡単に説明すると、ラダー回路の左→右、上→下の順番に接点や命令語を見て実行していきます。

まず、簡単にハードリレー回路との違いを見てみましょう。



下の回路を見てください。

これは、ハードリレー回路で設計した自己保持回路です。
仮にこの回路に電気を流したとすると、

緑の矢印ラインのように電気が流れて、接点の開閉でコイルがON・OFFします。

ところが、ラダー回路の場合、

この順番でスキャンしていきます。
リスト表示で表すと、
①LD X00
②OR Y00
③ANDNOT X01
④OUT Y00
⑤END
の順番で実行していき、

①LD X00
②OR Y00
③ANDNOT X01
④OUT Y00
⑤END
①LD X00
②OR Y00
③ANDNOT X01
④OUT Y00
⑤END
①LD X00





と、END命令を実行した後は、再び最初から実行していきます。

この、最初からENDまでのスキャンを1スキャンといい、その処理にかかる時間を「スキャンタイム」といいます。
そして、1スキャンのみONさせることを「パルス可」といいます。

具体的にどう使うのか?ということですが、カウンター命令を使って簡単にシミュレーションします。



X00(スイッチ0)を10回押したらカウンターがONするソフトを作るとします。



まず、パルス化命令を使わない場合のカウンター動作のシミュレーションです。
スキャンのシミュレーションは見やすいように遅くしています。





分かりますか?実際のPLCのスキャンタイムはもっと早いので、一瞬でカウンターがONしてしまいます。
なぜなら、毎スキャンカウンターの値がプラスされてしまうからです。
これでは、X00(スイッチ0)を押した回数を正確にカウントすることができません。
そこで「PLS」命令を使います。この命令は、1スキャンのみコイルをONするという便利な命令です。
(PLCによっては、「PLS」ではなく、「DIFU」の場合もあります。詳細は各PLCメーカーの取扱説明書を参照してください。)



それでは、「PLS」命令を使用したカウンター動作のシミュレーションです。
スキャンのシミュレーションは見やすいように遅くしています






理解いただけたかと思います。X00(スイッチ0)をパルス化することにより、押した回数を正常にカウントできるようになりました。
少し複雑なラダーソフトを設計する場合、常にスキャンを意識することが大事です。